世界のダンスと歴史


ダンス

ダンス(dance)とは、感情や意思の伝達、表現、交流などを目的とした、一定の時間と空間内に展開されるリズミカルな身体動作です。ダンス用音楽のジャンルを指して、ダンスミュージックもしくはダンスと呼ぶこともあります。
日本では、坪内逍遥の「新楽劇論」(明治37年)でダンスの訳語として舞踊(ぶよう)が初めて使われました。舞踊とは、坪内逍遥と福地桜痴による造語で、日本の伝統的なダンスである舞(まひ)と踊(をどり)をくっつけたものです。現在では、同じ訳語として、舞(狭義のダンス)と、踏(ステップ)を組み合わせた舞踏(ぶとう)も使われています。


ダンス

ダンスは人類と同様に古く、その発生について詳しいことは分かっていない。現代に残る世界各地のダンスや、古代遺跡・遺物などから、本能的な身体動作、求愛行為、呪術的行為などが初期のダンスではないかと考えられています。しかし確かな証拠はありません。 ダンスの目的は、鑑賞を主たる目的としたものと、それ以外のものに大きく分けられています。前者は演者とそれを鑑賞する者から成り立ち、芸術行為としてのダンス全般を指します。後者は、娯楽・社交としてのダンスや、スポーツとしてのものなど、ダンスへの参加を主たる目的としたものや、宗教・呪術行為としてのダンスなどが含まれます。 ダンスを演じる者をダンサーと言います。また、ダンスの一連の身体の動きを決めたものを振り付けと呼び、振り付けを創作または指導する者を振り付け師と言います。西洋発祥のダンスにおいては、振り付けをコレオグラフ(またはコリオグラフ)、振り付け師をコレオグラファー(またはコリオグラファー)と呼ぶこともあります。


ダンス | アジア地域

アジア地域のダンスには、歴史的な出来事や物語などを、ダンスの形態で表現するものが目立ちます。また、演劇と不可分なまま発生・発展してきたものが多いです。例えば、推古天皇の時代に日本に移入されたと言われる伎楽は、楽人と舞人とで構成される仮面音楽劇であり、日本舞踊の源流の一つとされています。 アジア地域の代表的舞踊劇には、日本の能、歌舞伎、中国の京劇、インドのカターカリ、ジャワ島のワヤン・オラン、バリ島のレゴンなどがあります。これらの舞踊劇で行われるダンスは、僅かな所作も洗練されており、象徴性が極めて高いです。 このようなアジア地域のダンスの形態や所作の象徴性は、19世紀末以降の西欧のダンサーや演劇に少なからぬ影響を与えました。例えばドイツの劇作家・演出家であるベルトルト・ブレヒトには京劇や能の影響が見られ、フランスの劇作家・演出家であるアントナン・アルトーはバリ島の舞踊劇にヒントを得て自身の演劇理論を編み出しました。 一方、民間のダンスには、宗教儀式や豊作を願う呪術的行為に起源を持つものが目立ちます。例えば、日本の盆踊りはその名の通り祖先の霊を祀る行事である盆に人が集まった時に行われるものです。また、秋の収穫の時期にも同様の習慣があります。 収穫祭の踊り以外のものとして、仏教や巫俗に関係した踊りが上げられます。日本の念仏踊りや朝鮮半島の サルプリ・チュム(サルプリ舞)、僧舞(スンム)などがこれに当たります。